-ライオンキングがいるタイムズスクエア- 2009年、90cm×120cm、カンヴァス・油彩。
 この絵は、他のcityscape(都市の光景)シリーズの絵の多くと同じく、私が現地で作成した15cm×20cmほどの小さな木炭画から描き起こしたものです。cityscapeの木炭画の作成には、多くの場合、1時間ないし2時間かかります。露出時間がとても長いカメラに似ています。「カメラ」が、私の心の中にあることを除いては。
 私の木炭画は、カメラのレンズを通して見えるものではなく、私の心が観たものを描きます。というわけで、描かれているものは、必ずしも現物そのままではありません。見えるものを感じるもので包み込み、考えることを思うことで包み込む。そして、私の思考と想いについて、私が感じたことを描くのです。描いている最中には、何百もの思念が頭をよぎってくるものですが、これもまた、画面に取り込まれていきます。そして、私が木炭画から油絵を描くとき、すべてものは拡大され、長時間露出の心の写真は、長編映画へと姿を変えます。私の心から生まれた、私の心を映す映画です。