-NOHOの日曜日- 2003年、75cm×100cm、カンヴァス・油彩。
  この絵は、2000年から描き始めて2003年に完成しました。ニューヨーク市の現地、そこは私が20年間住んでいた場所の近所でしたが、そこで同じ日に2回に分けてスケッチした15cm×20cmほどの小さな木炭画から描き起こしたものです。こまかいところまで描き込まれていますが、ご覧頂きたいのは、描かれているものの豊かさです。どんなに性能が良いカメラをもってきても捉えることができなさそうな、対象物がもつ霊感的で情緒的な表情に迫っています。私は、私が描く場所の霊感的・情緒的な歴史を「観(み)」、また、感じとるのです。アートがもつこの可能性には、アーティストでさえ気付いていないことがしばしばで、たとえ気付いても、それをうまく捕まえる方法の発見には苦労するようですが、この絵に関していえば、ありがたいことに、私は、両方ともうまくできたようです。窓の反射のひとつひとつでさえ、もうひとつの次元、もうひとつの世界へと続く通路のありかを顕かにしています。時間と空間を超えたところにある、不思議と記憶の世界。